ボルダリンググレードの全体像と7つの見どころ|次の練習に迷わない!

黄色のホールドで登る青い短パンの男性クライマー
資格

ジムで表示される数字や記号を見て、自分の実力がどのくらいか分からず不安になることはありませんか。

Vやフレンチ、段級制、デシマルなど複数の体系が混在し、同じルートでもジムやセッターによって体感難易度が変わるため、正しく評価して練習計画を立てるのが難しいのが現実です。

この記事では体系の全体像と換算表、セルフ評価やオンサイト・フラッシュ・第三者評価の実践法まで、実用的に整理してお伝えします。

さらにレベル別練習プランや指力・足技・ムーブ習得など限界突破に必要な技術要素、ジム差への対応法も具体例付きで解説します。

まずは全体像から確認して、自分に必要な次の一歩を見つけていきましょう。

ボルダリンググレードの全体像

カラフルなホールドを使って壁を登る男性クライマー

ボルダリングのグレードは難易度を示す共通言語であり、練習や目標設定に欠かせません。

ジムや岩場で使われる体系は複数あり、国や流派によって表記が異なります。

グレード体系一覧

代表的なグレード体系を把握すると、他者の評価を比較しやすくなります。

  • 日本の段級制
  • Vグレード(アメリカ式)
  • フレンチグレード(ヨーロッパ式)
  • デシマルグレード(ロシア式)

日本の段級制

日本の段級制は主にジムで日常的に使われる表記で、7級から始まり段へと進みます。

級は入門から中級までの指標になり、段はより高度な難易度を示します。

ジムごとに基準が異なるため、同じ「3級」でも体感難易度が変わる点に注意が必要です。

Vグレード

Vグレードはアメリカ発祥のアルファベット表記で、V0から始まり数字が増えるほど難しくなります。

短く力強いムーブが多いボルダリングに適した基準で、世界中のジムで広く使われています。

V0やV1は屋内ビギナー向けルートにも当てられ、V10以上になると高度な技術と指力を要求されます。

フレンチグレード

フレンチグレードはヨーロッパで一般的な表記で、数字にプラスやABなどが付くことがあります。

屋外の岩場でも多く採用されており、ムーブの連続性や持久力を評価に含める傾向があります。

表記の違いにより、フラッシュのしやすさやホールドの感触が反映されやすい特色があります。

デシマルグレード

デシマルグレードは小数点を使って細かく難易度を示す方式で、微差を評価しやすい利点があります。

こちらも屋外での評価に使われることが多く、持久系やテクニカルな課題の判定に向いています。

グレード換算表

代表的な目安を示す簡易的な換算表を用意しました。

日本段級 Vグレード フレンチ
7級 V0 4
5級 V2 5
3級 V4 6A
1級 V6 7A
初段 V8 7C

この表はあくまで目安であり、ジムやルートの性格によって大きく変動します。

グレードの主観性

グレードは測定器で測れる数値ではなく、セッターやクライマーの感覚に依存する面が多いです。

ホールドの形状や壁の角度、チョークの有無などで同じ数字でも体感が変わります。

したがってグレードは参考値として捉え、実際は自己の経験やフィードバックを重ねて判断することをおすすめします。

グレード判定と評価の実践法

屋内クライミングジムのホールドが付いた壁のクローズアップ

グレード判定は単なる数字当てではなく、自分の実力を理解し次の一手を決めるための道具です。

ここではセルフ評価、オンサイト、フラッシュ、第三者評価の実践的な方法を解説します。

セルフ評価

セルフ評価は最も手軽で、継続的に行うことで正確さが増していきます。

成功・失敗だけでなく、ムーブの再現性や体感の難しさを記録することが重要です。

偏りを避けるため、客観的な記録を残す習慣をつけてください。

  • 成功率の記録
  • 利用ホールドの感触メモ
  • 休養・疲労の状態
  • 映像の保存

これらをもとに、次のトレーニングの重点を明確にできます。

オンサイト評価

オンサイト評価とは、その課題を初見で落とさずに最後まで完登する評価方法です。

事前に他人のムーブを見ることなく、自分の直感と判断でルートを読み切る力を問います。

以下の表はオンサイト時にチェックすべきポイントを簡潔にまとめたものです。

ステップ チェックポイント
準備 ウォームアップ完了
ルートの視認時間確保
読み ホールドの持ち方予測
体重移動のイメージ
実行 最初のトライでの冷静さ
フォールのリスク管理
振り返り ムーブの記録
改善点の抽出

オンサイト評価は他者のヒントを受けない状態での実力判定になるため、ジムや大会でよく用いられます。

フラッシュ評価

フラッシュは、他人のムーブを一度だけ見たうえで完登する評価です。

オンサイトとの違いは、外部情報が一部許される点にあります。

ビデオや口頭アドバイスを元にトライする場合はフラッシュ扱いにするのが一般的です。

評価の際は、どの程度の「ベータ」が許されていたかを明確にしておくと混乱が減ります。

例えば、ムーブ全体の一部だけを見た場合と、ライン全体を見た場合では難易度感が変わるはずです。

第三者評価

第三者評価は信頼できる他者が判定する方法で、主観の偏りを補正する効果があります。

ジムスタッフや上級者に評価してもらうと、同じ課題でも異なる視点からの判定が得られます。

複数人の評価を集めて平均を取る方法は、特にグレードがあいまいな課題で有効です。

評価基準を予め共有し、映像やメモを見ながら意見を交換すると整合性が高まります。

ただし、ジムごとの設定傾向や個人の好みは完全には排除できないため、最終的には自分の経験と照らし合わせることが大切です。

グレード別の練習プラン

黒いクライミングホールドを掴む手のアップ

ここでは各グレード帯ごとに練習の目的と具体的な取り組み方を示します。

日々のルーティンに取り入れやすいメニューを中心に、強度や頻度の目安も併記します。

7級〜5級

まずは登ること自体の楽しさを維持しつつ、ムーブの基本を身につける段階です。

足で立つ感覚と体重移動、ホールドのとらえ方を反復して覚えることが重要です。

週2回から3回程度のジム通いを続け、1回あたりのセッションは1時間から1時間半を目安にします。

内容はウォームアップを丁寧に行い、易しめの課題を繰り返す時間を多めに取ると良いです。

反復する中で苦手なムーブを見つけたら、そのムーブだけを集中的に練習して改善していきます。

4級〜2級

基本が固まってきたら、ムーブの精度と局所的な筋力を高めるフェーズに移行します。

この帯では足位置の微調整や体幹の使い方が結果に直結しますので、意識的に取り組みます。

  • ウォームアップ 15分程度
  • 基本課題の反復 30分
  • テクニック練習 20分
  • 少し強めのトライ 20分
  • クールダウンとストレッチ 10分

週3回から4回のトレーニングがおすすめで、うち1回は技術集中の日にします。

課題の完登だけでなく、試行回数を記録して進捗を可視化すると伸びが早くなります。

1級〜初段

ここからは筋力とパワーを組み合わせたトレーニングを導入すると効果が出やすいです。

ボルダリング特有の短時間高強度の動きに対応するため、週ごとの負荷管理を行います。

項目 目安頻度
ウォームアップ 毎回 15分
課題トライ 週4回
指力トレ 週2回
コア強化 週2回
オフと回復 週1回以上

トレーニングでは部分的な強化とムーブの再現性向上を並行して行ってください。

核心の動きを分解して練習し、シーケンスの精度を上げることが完登率向上につながります。

2段以上

高度な段位では計画的なピリオダイゼーションが不可欠です。

短期的なパフォーマンスピークと長期的なベースアップを明確に分けて取り組みます。

具体的には最大強度期に向けて指力と爆発力を優先し、その他の期間で持久力と柔軟性を整えます。

キャンパボードやヘビーゲインでの指強化は慎重に行い、故障予防を最優先にしてください。

メンタル強化も重要で、ルートを分解する分析力やルーティンの安定性を鍛えると効果的です。

ジムと設定の違いに対応する方法

黄色のホールドで登る青い短パンの男性クライマー

ジムごとの違いを理解すれば、効率的に限界グレードを伸ばせます。

壁の角度やホールドの状態、セッターの傾向を把握することが第一歩です。

ホームジム特性

ホームジムは通いやすさが最大の利点で、ついつい同じ課題ばかり触りがちです。

ホールドが摩耗して滑りやすくなっている場合が多く、技術でカバーする必要があります。

セットの傾向が偏っていることもあり、特定のムーブに慣れてしまうリスクがあります。

  • 慣れたホールド
  • 定番ムーブの多さ
  • 摩耗によるグリップ変化
  • いつでもトレーニング可能

定期的に異なるジムへ行ったり、ルートを逆から登ったりして刺激を変えましょう。

強ジム特性

強ジムはテクニカルで微妙な足置きや体幹を要求する設定が多いです。

競技志向のセッターが多く、グレード表記より難しく感じることが珍しくありません。

特徴 対応策
テクニカルなムーブ中心 ムーブの分解練習
足位置の精度要求 静的な足トレーニング
ホールドの精査重視 精密なタッチ練習

外岩に近い課題が多いため、短時間で強度に慣れるトレーニングが効果的です。

セッター傾向

セッターごとに「持ち味」があります、例えばダイナミックなムーブを好む人もいれば、スローパワーを重視する人もいます。

ジム内の他の登り手を観察すれば、どのセッターがどんな傾向か把握しやすくなります。

セッターの名前を覚えて、同じ人が作った課題に挑むと対策が立てやすくなります。

疑問があればスタッフにムーブの意図を尋ねると、ヒントを教えてくれる場合があります。

グレード表記確認

ジムごとにグレードの付け方に差があるため、到着時に表記ルールを確認してください。

同じフレンチやVでもジム間で体感難易度が異なることが普通です。

トライした後は自分の感想をメモしておくと、別ジムでの比較が容易になります。

他の登り手と意見交換して相対評価を蓄積すると、実力にあったルート選びができるようになります。

限界グレード突破の技術要素

白い壁に取り付けられた黒いクライミングホールド

限界グレードを伸ばすには、ただ量をこなすだけでなく、技術的な要素を分解して鍛えることが重要です。

指先からメンタルまで、段階的に強化していく視点が求められます。

指力

指力はボルダリングの核で、保持力と耐久力の両方が必要になります。

ハングボードでのルート型トレーニングは有効で、スローパーとエッジを分けて鍛えると効果が高まります。

回数だけでなく、負荷のかけ方やリピート間隔を管理して、故障を防ぎつつ進めてください。

足技

強い足技は指への負担を減らし、ムーブの精度を一気に高めます。

技名 重点ポイント
エッジ立て 足裏荷重
フェイススタンス つま先荷重
トゥフック 引き込み保持
ヒールフック 体幹連動

表にある技を練習で意識して、足に頼る登り方に切り替えるとグレードが伸びやすくなります。

コアトレーニング

コアは身体の安定と力の伝達を担い、難しいポジションでの姿勢保持に直結します。

デッドバグやプランクといった基本種目を、クライミング特有の動きに近づけて応用することが大切です。

週に2回程度、短時間でも高強度で行うと効果が出やすいです。

ムーブ習得

正しいムーブを身につけるには、反復と部分練習が鍵になります。

  • 部分ムーブ分解練習
  • リズム変化を入れた反復
  • ビデオ撮影での動作確認
  • テンポを落とした精度練習

これらを組み合わせて、難しいムーブを無意識でも再現できるようにしていってください。

柔軟性

柔軟性は可動域を広げ、無理なく身体を使えるようにする土台です。

特に股関節と肩周りの柔軟性を保つと、ハイステップやダイナミックムーブの成功率が上がります。

動的ストレッチと静的ストレッチを組み合わせて、トレーニング前後に取り入れてください。

メンタル

恐怖心や焦りをコントロールできることが、オンサイトやトライの成功に直結します。

ルートの分解イメージを行う可視化や、呼吸法で集中を戻す習慣を作るとよいです。

小さな成功体験を積み重ねて自信を育て、段階的に難度へ挑戦してください。

次に取り組む具体的な一歩

クライマーたちが挑戦する大型のボルダリングウォールとカラフルなホールド

次の一歩は目標を一つに絞り、短期的な練習計画を作ることです。

まずは今週の優先課題を決めてください。

以下の中から一つ選んで、実際のセッションに組み込むことで効果が見えやすくなります。

  • 週2回の指力トレーニング10分
  • 1本の課題をオンサイトで繰り返す
  • 足使いを意識したムーブ反復5回
  • 十分な休息と睡眠の確保

まずは無理をせず、楽しみながら続けてみてください。